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登別で健康促進プログラム  〜温泉地の新たな方向性示す〜 

  北海道登別温泉でこのほど、「21世紀の新湯治体験」と銘打った健康づくりのモニターツアーが行われた。北海道大学、旭川医科大学教授などを会員に持つ札幌の特定非営利活動法人(NPO法人)「健康保養ネットワーク」(理事長:阿岸祐幸北海道大学名誉教授)が登別市、登別温泉旅館組合などと協力して行ったもの。一般公募で参加したツアー客32名が温泉入浴、療養ほか、医師による健康診断、専門家の指導による運動など、健康促進のためのプログラムを受講した。
 ツアーは同NPO法人が企画した「《登別》健康スリムアップシティ構想」の一環。同地が持つ温泉資源を戦略的に活用し、人々の健康を促進するとともに、地域経済の活性化を図ることを狙いとしている。構想は内閣府から21年度の「地方の元気再生事業」の選定を受けており、政府が昨年暮れに発表した新成長戦略で掲げる「健康大国」「観光立国・地域活性化」の方向性にも合致したものだ。
 事業は4つの柱で構成。モニターツアーほか、地元住民や観光客を対象とする健康づくりプログラム、事業の推進役となる人材育成プログラムからなる。それぞれ紹介しよう。
 入浴・健診運動で心身をリフレッシュ
  
 ■ モニターツアー事業

 今回行われたツアーが、この「モニターツアー事業」。「21世紀の新湯治体験と銘打ち、名湯で名高い登別の温泉入浴を楽しんでもらうほか、血液検査、自律神経検査、唾液検査を受診。そのほか個人の体力に合わせた運動プログラムを受診してもらった。

 今回は東京発着の2泊3日(3月13日〜15日)と、札幌発着の1泊2日(3月14日〜15日)の2コースを設定。東京から22人、札幌から10人の計32人が参加した。

 3月14日に行われたプログラムは次のようになっている。  
                 
 ▽起床、各自朝食
 ▽午前10時、ノルディックウォーキング体験
 ▽昼食
 ▽午後1時、好きなホテルで温泉入浴
 ▽午後3時、健康講話「温泉をもっと知る」(講師・大塚吉則北海道大学院教授)
 ▽午後4時30分、運動プログラム(水中運動かストレッチ体操を選択)
 ▽自由行動、夕食
 ▽入浴、自律神経検査
 ▽自由行動、就寝

 盛りだくさんの内容だが、運動・入浴・休息のリズムを繰り返すことで、心身の調整を図るなど、細かく計算されたプログラムとなっている。
 ツアー参加者からは、次のような感想が述べられた。
 「参加直前にこれまでの人生で最悪と思うくらいストレスがありました。温泉、自然に加え、私のような運動の者が適切に運動することにより、びっくりするくらいストレスが発散でき、頭がすっきり、楽しい気分になりました」
 「2泊3日、日常から離れて過ごしたことは、素晴らしいリフレッシュになりました。未経験だったノルディックウォーキング、ストレッチ体操、水中運動、それぞれ気持ちよくなることを知り、温泉の入り方では自己流ではなく、温泉療法の専門家の指導で入浴すれば、もっと効果的かつ健康的になることを知りました」。

 ■ 地元住民向け健康スリムアップ事業

 登別市民の希望者対象に昨年10月から今年3月までの毎週月曜日、ホテルのプールやフロア、屋外を利用した運動プログラムを行った。市民の生活習慣病予防を目的とするもので、期間中、20回実施。延べ605人が参加した。
 参加者の体調チェックや体力測定、運動、健康講話の聴講の後、温泉に入浴。運動はフロアでの運動、プールでの水中運動、屋外でのウォーキングの各プログラムを用意し、参加者がその日の体調や希望に合わせて選べるようにした。

 ■健康保養館事業

 ホテル内に健康測定コーナーやフィットネスコーナーを開設。昨年10月から今年の3月までの毎週月〜金曜日、NPO法人のインストラクター、健康運動指導士が常駐し、宿泊客や市民の健康相談に応じたほか、ストレッチなどの軽運動プログラムを指導した。期間中、延べ2千人の参加があった。
 
 ■ 専門的人材育成事業

 健康保養事業の人材育成を目的に、運動のインストラクターなど事業の推進役を目指す人々を公募。昨年10月に募集したところ、同市市民9人が応募した。応募者は昨年10月から今年3月まで、NPO法人の温泉・健康科学の専門家、健康運動指導士による運動生理学基礎講座(全18回)を受講したほか、現場体験として今回行われたモニターツアーのインストラクター役を担った。
 
 NPO法人健康保養ネットワークは、会員の医科学的知識を生かした疾病予防、要介護予防の健康運動教室を全国各地で主宰している。今回の登別での取り組みも、そのノウハウを生かしたものだ。登別での一連の事業は今後も継続して推進される見込み。
 温泉や自然、宿泊施設など、地域資源を活用した温泉地でのこのような取り組みは、観光・宿泊客数の大きな伸びが望めない全国の温泉地で新たな可能性を予感させるものだといえる。観光地から健康保養地への転換は、温泉地の今後の新たな方向性として注目される。
 平成22年4月17日「週間観光経済新聞」に掲載