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豊浦町 温泉を活用した健康づくり実施報告書 (平成17年度)

                 

1 実施概要

(1)はじめに(背景と目的)

豊浦町の人口は年々減少しており、平成17年5月末で4,959人となっています。また、世帯数は2,395戸で、一世帯あたりの平均人員は2.07人で核家族化が進んでいます。

  65歳以上の老人人口は年々増加しており、30.7%となっています。少子高齢化は国以上に深刻な問題となっています。

※数値は全部、平成17年5月末現在です。

健康とようら21計画の目標である21世紀の豊浦町を「健やかで心豊かに生活できる輝く町にしたい」を達成するため、平成15年度からは国保連合会のいきいき健康ライフ推進事業として、
運動教室など様々な事業を実施しています。

豊浦町の住民が、年をとっても心身ともに健康で自分のしたいことをして暮らせるために、早期からの健康づくりができるよう、その支援の一環として取り組んでいます。

平成17年度については、老人など町民の憩いの場である温泉を活用した銭湯体操教室に取り組んでいます。夏場しか使用できないプールではなく、温かい温泉ということで 年中取り組め、足の悪
い方でも気軽に参加できる点が良いと感じています。また、教室に参加して覚えた体操は自宅などでも活用できるので、今後自分のペースで実施でき、 運動の習慣化につながることを期待しています。

早期(熟年期)からの健康づくりが必要ということで、対象者については40歳以上の町民としました。浴槽での運動のため、心疾患や高血圧のある方につきましては、かかりつけ医師に確認のうえ、
申し込んでもらいました。また、申込者には事前に健康チェック表を送付し、健康状況を医師が確認しています。浴槽の広さなどの都合上、定員は25名としました。

各事業は回覧で周知し、参加者を募りました。特に運動効果を視るため、糖尿病患者に参加してもらいました。

申込者は男性4人、女性21人となっており、平均年齢は64.6歳です。(最年少49歳、最年長78)

 

(2)実施スタッフ

 ・豊浦町        保健師・栄養士・看護師

 ・特定非営利活動法人

  健康保養ネットワーク   健康講話・運動指導担当者

 

(3)実施年度 平成17年度(4月〜9月)

 

(4)実施日・場所 48日、5月17日、68日、712日、89日、96

          天然豊浦温泉しおさい 多目的広間、浴室 

 

(5)対象者 国民健康保険被保険者を含む豊浦町町民

 

(6)実施内容

 

銭湯教室スケジュール

○ 8:30〜10:00

○ 事前に血圧測定・健康相談を行う

           内   容

4月

体力測定、POMS気分プロフィール検査、ストレッチ筋トレ、銭湯体操

5月

MCL検査、ストレッチ筋トレ、銭湯体操、MCL検査

6月

MCL検査、ストレッチ筋トレ、銭湯体操、MCL検査

7月

MCL検査、ストレッチ筋トレ、銭湯体操、MCL検査

8月

MCL検査、体力測定、ストレッチ筋トレ、銭湯体操、MCL検査

9月

MCL検査、唾液検査、ストレッチ筋トレ、銭湯体操、MCL検査、唾液検査

 

(7)運動プログラム内容と流れ

 

 水中での運動は、浮力の影響で運動中の身体荷重が軽減される、水の抵抗があるので適度な筋トレーニングができるなどの利点があります。

 しかし、頻繁にプールに行くことができない、水着を着ることに抵抗がある、煩わしい

などの問題点があるために、多くの人が水中運動を日常的に行っているとはいえない状

況です。そこで、もっと身近な施設である温泉施設(温浴施設)でできる水中運動を実

践してみまた。       

○陸上でウォーミングアップ

 ・椅子に座って全身をほぐすストレッチ体操

 ・正しい姿勢を作るストレッチ&筋トレ(ドイツ式体操)➞宿題体操

 ・リズム体操

 ○水分補給

 ○浴槽にて 

➀全身の運動(自転車こぎ)➁肩の運動➂腕、肘の運動➃腰のストレッチ

➄腹筋運動➅足の筋調整運動➆ウォーキング➇リラクセーション➈クールダウン(外気を吸って呼吸法)

 ○水分補給

 ○個々に入浴

 ○個々にアンケート記入

 

(8)銭湯体操を行う上での注意点

・浴槽での体操時間は15〜20分とする

・胸までの湯に入る運動は10分以下とし休憩を細かく入れる

・湯温は38℃±2℃が望ましい

・実施前に血圧をチェックする

・参加者は、自分のペースで行い無理はしない

・指導者は、常に参加者の表情をチェックする

 ・指導者は、呼吸は動きに合わせてするように何度も声をかける

 ・実施前後は必ず水分を補給する

○浴槽でできるリハビリテーションについて

入浴中のリハビリテーションの利点

 ・温熱効果で筋の緊張や痛みがやわらげられること

・同じく温熱効果で血液循環が改善され新陳代謝が促進されること

・水の浮力を利用して関節にかかる負担を軽減して運動ができること

・水の抵抗を利用して適度の筋調整運動ができること

可能な部位

❶ 首 ➋ 肩 ❸ 肘 ❹ 手首と指 ❺ 胸部 ➏ 腰 ❼ 股関節 

❽ 膝 ❾ 足

 

 

 

2 調査項目

 

1回の健康教室において、医学的数値(血液等)の改善は難しいですが、リフレ

ッシュ効果はあると仮定します。検証すべく、3種類の検査と体力測定を用います。

(1)体力測定

○最大1歩幅(左右) →柔軟性と筋力(可動域)

○開眼片足立ち(左右) →バランス

○腹筋        →筋力

○握力        →筋力

1回目と5回目に測定します。教室全体の評価にします。

○長座位体前屈     柔軟性

 ➞5回目の銭湯体操の前後に測定します。1回の銭湯体操の評価にします。

(2)唾液検査…ストレスホルモンのコルチゾールを測定します。

 コルチゾールというホルモンは、ストレス状態に置かれた時に副腎皮質から分泌され

 るものです。銭湯体操の前後で測定し、ツアー後コルチゾールが減少していれば、スト

スが減少し、リフレッシュできたということになります。

(3)POMS Profile of mood states 気分プロフィール検査

 緊張・抑うつ・怒り・活気・疲労・混乱の6因子をどうじに測定します。

 性格傾向を評価するのではなく、その人の置かれた環境下での一時的な気分・感情を測

 定します。健康教室の初回と最終回の気分・感情の状態の変化を見ます。

(4)MCL Mood Check List 運動時の気分調査

快感情・リラックス感・不安感。運動前後の気分の変化を、○を付けるだけのアンケー

トによって調べます。

 

3 調査結果

 

○参加状況 25人参加予定でしたが1名は一度も参加せず、24人の参加者でスタートしました。6回の平均出席人数は18.8人でした。出席率78.3%です。

 平均年齢は64.6歳。男性4人女性20人。

 

(1)体力測定  観測数 23名

 

○ 最大1歩幅(左右)→柔軟性と筋力(可動域)

 

【グラフ1】               【グラフ2】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


@ 初回右最低値だった(70歳女性)が66cm→101cm、プラス35cmの改善がみられまし

た。初回左最低値だった(同じく70歳女性)が60cm→98cm、プラス38cmの改善がみ

られました。左右共に35cm程度改善したということは、骨盤、股間節等の関節の柔軟

性とその周辺の筋力が同時にバランスよく変化したと考えられます。

        【グラフ3】

筋力と柔軟性の

       バランス

 


                                             

                                                        

                                                          

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A 平均値を比較してみても、最大1歩幅(右)プラス19.75cmの改善、(左)プラス19.23cmの改善がみられました。左右共に19cmと数値が同じく変化しています。陸でのストレッチ筋トレ後の、
リラックスしながらの銭湯体操が、いかにバランスづくりに最適なプログラムかがわかります。

 

○ 開眼片足立ち(左右)→バランス

【グラフ4】                

 

 

 

                                                        平衡感覚の

                                                        バランス

 

 

【グラフ5】

                                                             【グラフ5】

                                                        

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

@ 初回最低値(75歳女性)右1秒→9秒の改善左2秒→8秒の改善がみられました。

このように、一瞬しか片足で立てない場合の改善は難しいのですが、左右共にわずかですが改善がありました。温泉(お湯)の中での絶えず揺らぎながら運動の効果でしょうか。

  初回最低値(71歳男性)右3秒→24秒の改善

  初回最低値(63歳女性)左2秒→42秒の改善

【グラフ6】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A       平均値も片足立ち(右)プラス31.47秒(左)プラス28.52秒の左右共に改善がみら

れました。温泉(お湯)の中で筋肉を弛緩させた状態で足の裏、指などの細かい筋肉を動かしたことも効果があったように思います。簡単な運動なので、参加者の何人かは、お風呂に入るたび動かして
いたようです。習慣化させやすいのが利点の銭湯体操でした。

 

○ 腹筋→筋力

 【グラフ7】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


@ 最低値が0→0の全く改善がみられなかった参加者が3人。70歳、75歳、58歳の女性です。後のアンケートに、「違うやり方ならできたのに」という指摘がありました。起き上がってくる腹筋
だったので、腰痛症の方には厳しかったようです。それでも、最低値(49歳の女性)1回→15回の改善はみられました。

 

 

【グラフ8】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A 平均値では、腹筋の回数は11.7回→16.8回とプラス5.13回の改善がみられまし

た。痛みのために関節可動域に制限のある対象に向けて、温泉(お湯)の中での腹筋

運動が課題になりました。浴槽の深さも問題です。暖かい温泉(温水)プール、もし

くは、深さのある(立って入れる)運動浴槽があれば理想的です。

 

○握力→筋力

 

【グラフ9】

 

 

 

 


                                                       手の筋力

 

 

 

 

 

               【グラフ10】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【グラフ11】

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

@ 握力の平均値(右)27.5→28.2 プラス0.7(左)25.2→25.9 プラス0.7の

改善でした。このように、改善が見られませんでした。

プログラムの中では肩、肘、手首の関節をほぐす弛緩運動は入れていましたが、筋力増加にまでは効果がなかったようです。

○長座位体前屈→ 柔軟性 

8月9日銭湯教室5回目の銭湯体操の前後に測定しました。観測数 23名

【グラフ11】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【グラフ12】柔軟性

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


@       銭湯体操(前)→36.46cmが銭湯体操(後)→43.57cm プラス7.11cmの

改善がみられました。

たった1回の銭湯体操でも、柔軟性の改善がみられました。温泉の温熱効果、浮力効果 

で筋肉がほどよく弛緩し、リラックスできるのでしょう。

 

(2)唾液検査…ストレスホルモンのコルチゾール 観測数 16名

○ ストレッチ筋トレ、銭湯体操の前後で唾液を採取しました。

 

@ ゼン平均0.40313→ゴ平均0.28125でした。

ゼン最小0.21→ゴ最小0.14

ゼン最大0.83→ゴ最大0.39

   有意にコルチゾールの唾液中への分泌量が減少しています。

 A 銭湯教室の後にストレスホルモンのコレチゾールが少なくなることがわかりました。

   
 
(4)MCL Mood Check List 運動時の気分調査

快感情・リラックス感・不安感。運動前後の気分の変化を、○を付けるだけのアンケー

トによって調べました。2回〜6回の銭湯教室の気分調査です。